
・・・・この森に 光はない ほの暗い緑の木陰と
曲がりくねった苔の小径をとおり
そよ風とともに 空から吹き送られる光のほかは
足もとに咲く花も 枝に垂れるほのかな香りも
なにかわからない
しかし この香しい夕闇のなか この季節をえた月が
あたえる ひとつひとつの芳香を いいあてられる
草原 茂み 野生のくだもの 白いさんざし
牧の野バラ 葉隠れにしおれゆくすみれ
五月なかばの早咲き花 露酒をたっぷりふくんだ薔薇
夏の夕べ 羽虫のうなり よる花宿に あたえた芳香を・・・

ジョン・キーツ
「ナイチンゲールのうた」より