斎藤孝「心の琴線にふれる言葉」を読んで

死を覚悟した剣士 拝 一刀が
幼い我が子大五郎に語った
遺言のような言葉です 
海辺に立ち はるか沖を見つめて・・
原作は読んでいないけれど 
昔 田村正和さんの映画
「子連れ狼 その小さき手に」を見ました 
原作者が何度か上演された映画の中で
一番気に入っていると言うくらい
正和さんの美学に貫かれた映画でした
ラストの場面のこの言葉の中の

「生まれ変わりたる次の世でも 父は父
 次の次の世でもわが子はおまえぞ」

映画ではその次に

「そして わが妻は・・あざみ・・」と 

亡き妻の面影を追うようにつぶやきます
この映画のために加えられたのでしょう
とても心に残りすてきでした・・

ずいぶん昔に見たのですが 
正和さん以外の共演者さんも
みながとてもよかったので
なつかしく思い出しました
映画っていいなあと思える
作品に出会うと嬉しい 
もちろん舞台も 演じる人たちにも
これからも出会いたいです

 「子連れ狼」  小池一夫

川は海に注ぎて 波となる
大きなうねりの波 小さなうねりの波
寄せては返し 絶ゆることはない

人の命も この波に同じく 生まれては生きて
死んではまた生まれる

ほどなく 父の五体はもの言わぬ屍となろう
だが父の生命は 波に同じく 
来世という岸頭に向かいて
また 生まれ変わるべく うねっていく

五体死すとも 父の生命は不滅なのだ
おまえの生命も然り
我らの生命は絶ゆることなく 
永遠に不滅なのだ

皮破るるとも 血が噴くとも うろたえるな
父の五体 倒るるも ひるむな
父の眼 閉じらるるとも 
父の口 ひらかぬとも おそるるな

生まれ変わりたる次の世でも 父は父
次の次の世でも わが子はおまえぞ
わしらは永遠に不滅の父と子なり