

妖精がいました 冬の雪ひらという妖精が
この子は雪がふると 透きとおったため息の
透きとおった姉妹である沈黙に ささやきかけ 牧場を銀色に変え
夜を 星もさみしげな独りぼっちの世界に変えて その凍りついた軒下から
こう叫びました あたしここで燃えてます!
透きとおった翼を 蜂みたいにはばたき 魔法のつえを指にからませ
ぴかぴか光る髪と つららの足と 緋色のようなあざやかな唇をして
その子はその真っ暗な洞のなかで目をあげました
水藻の茎みたいに青い目を そして息をはいて 身じろぎしました
その子の心臓から細々と流れ出た霊血が 体をめぐり 火をあおり
眠りこんでいたその魔力を呼び覚ましました その子の翼の先が
蝶の羽よりも軽くふるえました 夜の暗闇めざして 光のように
その子は飛び立ちました うちすてられ 凍てついたその洞を残して
空では 凍った水晶の大地の上を
夜風が音を立てて吹きあれていました・・・・
W・デ・ラ・メア「妖精詩集」より
