・・にわかにパッと明るくなり日光の金は 夢のように
水の中に降ってきました 波からくる光の網が 底の白い磐の上で
美しくゆらゆらのびたりちじんだりしました・・・
波といっしょに白い樺の花びらの影がしずかに砂をすべりました・・



     お月さまの光が青くすきとおって そこらは湖の底のようになりました


  その人の影は紫いろで 透明に草に落ちていました・・・


   金と紅玉石を組んだような美しい花皿を捧げて天人たちが
   一郎たちの頭の上をすぎ 大きな碧や黄金の花びらを落としていきました 
   その花びらは しずかにしずかにそらを沈んでまいりました・・



顕微鏡で覗いた石の中には無限の宇宙が広がっていたのです


    ・・・湖は緑青よりももっと古び その青さは私の心臓まで冷たくしました・・


青白く光る銀河の岸に 銀色の空のススキがもうまるでいちめん
風にさらさらさらさらゆられてうごいて波をたてているのでした・・


    つりがねそうか野ぎくの花が そこらいちめんに
                夢の中からでも薫りだしたというように咲き・・・

じつにそのすきとおったきれいな風はばらの匂いでいっぱいでした・・


     夜があけはじめました・・ その青白いりんごの匂いのするうすあかりの中で・・

宮沢賢治さんの世界

これがお前の世界なのだよ お前にちょうどあたりまえの世界なのだよ
それよりもっとほんとうは これがお前の中の景色なのだよ


     やさしい光の波が 一生懸命 一生懸命ふるえているのに
     いったいどんなものがきたなくてどんなものがわるいのでしょうか


永久の未完成  これ完成である

☆若い時から 宮沢賢治さんの言葉の世界 イメージの世界に
うっとりしていました 今も時々開く本の中から どんな画家さんにも
描けないような美しい世界が浮かび上がり心ふるえています
そして 当時にこの世の真実?を見透かしたような言葉も
今に新しいです